「永住者の配偶者等」とは

「永住者の配偶者等」は、永住者又は特別永住者の配偶者、永住者又は特別永住者の子として日本で出生し、引き続き日本に在留する者という身分又は地位を有する外国人に与えられる在留資格(ビザ)です。「永住者の配偶者等」をもって日本に在留している外国人には、日本に在留中に行うことができる活動の範囲に制限がなく、どのような職業に就くことも可能(他の在留資格では禁止されているような業種も可能)になります。そのため、「永住者の配偶者等」の申請に対する出入国在留管理局の審査は厳しくなってきています。「永住者の配偶者等」に該当するのは、永住者又は特別永住者の配偶者日本で産まれた実子が対象であり、恋人、「永住者」を有する外国人の両親や兄弟、親戚などは対象には含まれません。

「永住者の配偶者等」に該当する人とは

「永住者の配偶者等」とは、永住者の夫・妻や子どもに与えられるビザで、具体的には、以下の人が該当します。

家族団欒の写真
関係性 在留資格該当性 備考
配偶者 婚姻が法律上有効に成立していること
婚約者・恋人 × 短期滞在(知人訪問)に該当
実子 嫡出子・認知された非嫡出子
普通養子 × 場合により「定住者」に該当
特別養子 × 場合により「定住者」に該当
両親 × 「特定活動(老親扶養)」に該当
兄弟 × 短期滞在(親族訪問)に該当
親戚 × 短期滞在(親族訪問)に該当

永住者の配偶者

「永住者の配偶者等」に該当するには、単に法律上の婚姻関係があるというだけでは十分でなく、真摯な婚姻関係(結婚が偽装でないこと)を書類で立証する必要があります。また、日本で自立した生活を送ることができること(生計)を立証しなければなりません。

永住者の子

日本で子供が生まれた時に、父または母が永住者だった場合、その子供の在留資格は「永住者の配偶者等」になります。出生後もその子供が引き続き日本に在留していることが必要で、出生時に「永住者の配偶者等」の在留資格を取得してもその後海外に長期間在留している間に在留資格を喪失してしまった場合は「永住者の配偶者等」を再び取得することはできません。「定住者」等の在留資格が付与されることがあります。永住者の子が「永住者の配偶者等」を取得するためには、出生した日から30日以内に出入国在留管理局へ「在留資格取得許可申請」を行う必要があります。 また、出生した日から30日以内に出入国在留管理局へ申請を行うことで、「永住者」の在留資格が得られる可能性もあります。

「永住者の配偶者等」についてのよくある質問はこちら

「永住者の配偶者等」の在留期間

日本に滞在することのできる期間は6ヵ月、1年、3年、5年のいずれかになります。在留期間は、婚姻の真実性、本人及び扶養者の素行、世帯収入、納税状況などによって個別に判断されます。

申請のポイント

「永住者の配偶者等」をもって日本に在留している外国人には、日本に在留中に行うことができる活動の範囲に制限がなく、どのような職業に就くことも可能です。他の在留資格では働くことのできない職種、たとえばコンビニ店員(留学生などのアルバイトを除く)や日雇い労働、風俗店等での就労も可能になります。一般的に日本の就労ビザの要件(ハードル)は高く、高い学歴や職務経験などが無いと就労ビザは取得できません。そのため、就労ビザを取得できない外国人が、永住者と形式的に結婚することで「永住者の配偶者等」を取得する、いわゆる「偽装結婚」が後を絶たず、出入国在留管理局の審査も厳しくなってきています。「永住者の配偶者等」の申請では、法律上の家族関係だけでなく、婚姻の真実性や世帯の収入、納税状況など様々なことを申請者が立証する必要があります。

以下に「永住者の配偶者等」の申請のポイントを紹介します。

申請のポイント
法律上有効な家族関係を有すること
婚姻に真実性があること(配偶者)
日本で出生した実子であり、引き続き日本に在留していること(子)
家族が安定した生活を送るために十分な資力があること(配偶者)
申請人の過去の素行が不良でないこと(配偶者)
過去の申請と今回の申請に矛盾が無いこと

① 法律上有効な家族関係を有する事

「永住者の配偶者等」の在留資格に該当する外国人の方は、「法律上有効な家族関係」を有している必要があります。以下に、「配偶者」と「子」について詳しく見ていきます。

「配偶者」

「配偶者」は、現に婚姻が法律上有効に存続中の場合に限られ、以下の場合には該当しません。

  • 相手方の配偶者が死亡した場合
  • 相手方の配偶者と離婚した場合
  • 内縁の配偶者の場合
  • 同性婚の場合(日本の民法では同性婚は認められていないので、日本人と外国人の同性婚は「法的に有効な婚姻関係」とは認められません)

「子」は、「永住者の子として日本で出生した者」を指し、養子は含まれません。「永住者の子として日本で出生した者」とは、永住者の実子のことで、嫡出子のほか、認知された非嫡出子も含まれます。「日本で出生した」事が必要とされ、海外で出生した「永住者の子」は含まれません。

なお、「配偶者」と「子」に共通して、永住者の扶養を受けることは要件とされていませんので、経済的に独立している場合でも「永住者の配偶者等」に該当します。

立証資料

配偶者 婚姻届受理証明書(婚姻証明書)・家族関係証明書など
出生証明書・家族関係証明書など

② 婚姻に真実性があること(配偶者の場合)

「永住者の配偶者等」の申請では、法律上有効な婚姻関係を有する事が前提となりますが、それだけでは決して十分ではなく、同居・相互扶助の関係をもって夫婦が共同生活をしているという婚姻の実態があり、婚姻関係に真実性が無ければ、在留資格該当性は認められません。夫婦の年齢差が離れている場合や交際期間が短い場合、離婚歴がある場合、同居を予定していない場合、交際のきっかけが恋人・結婚紹介所等の紹介による場合などは慎重に審査されるので申請にあたっては注意が必要です。

申請の際には、出会いから交際・結婚に至った経緯や交際中の通話記録・メールなどのメッセージのやり取り、二人の交際中の写真、相手方の両親への挨拶を行ったかどうかなど、様々な立証資料を提出して婚姻の真実性を立証します。

なお、日本の民法では、「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。」と規定されており、正当な理由がないのに別居したり、通常の夫婦関係では考えられないような生活を送っている場合には、「永住者の配偶者等」の在留資格該当性がないと判断されてしまい、在留期間の更新の際に不許可になることがあります。また、離婚や死別により永住者の身分を有する者としての活動を継続して6月以上行わないで在留していると在留資格取消の対象となることも考えられます。

具体的な不許可事例は「永住者の配偶者等」ビザの事例を参照して下さい。

③ 日本で出生した永住者の実子であり、引き続き日本に在留していること(子の場合)

「永住者の子として日本で出生した者」を指し、養子は含まれません。「永住者の子として日本で出生した者」とは、永住者の実子のことで、嫡出子のほか、認知された非嫡出子も含まれます。「日本で出生した」事が必要とされ、海外で出生した「永住者の子」は含まれません。

「引き続き日本に在留」していることが必要となりますので、「永住者の子」として出生した者が、再入国許可を受けずに出国した場合、再度「永住者の配偶者等」の在留資格で日本に入国することはできません(在留資格を失ってしまいます)。

④ 家族が安定した生活を送るために十分な資力があること

「永住者の配偶者等」が許可されるためには、申請をする外国人の方を含む家族が安定した生活を送るために十分な資力があることが必要です。いくら以上の収入が無ければいけないといった一律の基準はありませんが、あまりに収入が低い場合には、日本で安定した生活を送ることができないのではないかと疑われてしまい、許可を得ることができない可能性があります。しかし、単に収入が低いから在留資格を得られないというわけではなく、今後収入が安定する見込みを示すことができれば、許可の見込みはゼロではありません。また、扶養者が就職して間もない場合についても、前年度の収入を証明する書類を提出できないことがあります。その場合には、必ず給与明細書や銀行通帳のコピーなどの現在の収入を証明する資料を提出する必要があります。扶養者の収入が低い場合や就職して間もない場合には、慎重に資力を立証する必要があるので、専門家へご相談することをお勧めします。

通常は、申請の際に添付資料として扶養者の在職証明書や納税証明書、課税証明書などの収入を証する書類を提出します。

⑤ 申請人の過去の素行が不良でないこと(配偶者の場合)

「永住者の配偶者等」の申請では、申請人の過去の素行が非常に重要です。申請人に、過去に重大犯罪歴や入管法・旅券法違反がある場合には、原則として在留資格は認められません。そして、申請人が過去に日本に在留していたことがある場合には、前科だけでなく、過去の在留履歴、たとえば「留学」中の出席率、アルバイトの時間数(法定の時間数を超えて働いていないか)などの素行も厳しく審査されます。1つでも前科や不良歴があると在留資格の取得が不可能なわけではなく、今後日本で善良に在留することが書類から明らかであれば、在留資格取得の可能性はあります。このような場合には、専門家にご相談ください。具体的な不許可事例は「永住者の配偶者等」ビザの事例(リンク)を参照して下さい。

⑥ 過去の申請と今回の申請に矛盾が無いこと

「永住者の配偶者等」の申請では、申請人が過去に日本に滞在していたことがある場合、または、現在も有効なビザをもって日本に滞在している場合には、過去の申請の内容と現在の申請の内容に矛盾が生じないようにする必要があります。

過去の申請で誤った記載をしてしまい、現在の申請と矛盾があると、虚偽申請を疑われて不許可になってしまう可能性があります。たとえば、過去の申請(3年前)では未婚と記載しているのに、今回の申請では結婚して10年が経過していると記載していたりする場合には、たとえ悪意がなく単なる間違いだったとしても、虚偽申請を疑われてしまう原因になります。過去の申請内容に虚偽や誤りがある場合には、今回の申請にあたってその点をしっかりと説明する必要がありますので、行政書士などの専門家にご相談することをお勧めします。

「永住者の配偶者等」の審査期間

ビザの更新(在留資格更新許可申請) 2週間~1か月 

※実務上は、1カ月以上かかることもあります。

ビザの変更(在留資格変更許可申請) 2週間~1か月

※実務上は、1カ月以上かかることもあります。

在留資格認定証明書交付申請 1か月~3ヵ月

※実務上は、3カ月以上かかることもあります。

※日本では、学校や企業の年度が4月から始まることもあり、毎年1月から3月までは通常よりも審査の期間が伸びる傾向があります。

「永住者の配偶者等」の申請に必要な書類

永住者の配偶者(夫・妻)の場合

在留資格認定証明書交付申請 在留資格更新許可申請
在留資格認定証明書交付申請書 1通 在留資格更新許可申請書 1通
申請人(外国人)の写真 1葉
  • 縦4cm×横3cm
  • 無背景、無帽、正面
  • 申請前3ヶ月以内に撮影されたもの
申請人(外国人)の写真 1葉
  • 縦4cm×横3cm
  • 無背景、無帽、正面
  • 申請前3ヶ月以内に撮影されたもの
申請人の国籍国(外国)の機関から発行された結婚証明書 1通

※日本で結婚した場合には、婚姻届受理証明書

配偶者(永住者)の住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書(1年間の総所得及び納税状況が記載されたもの) 各1通 配偶者(永住者)及び申請者本人の住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書(1年間の総所得及び納税状況が記載されたもの) 各1通
身元保証書 1通 身元保証書 1通
配偶者(永住者)の世帯全員の記載のある住民票の写し 1通 配偶者(永住者)の世帯全員の記載のある住民票の写し 1通/td>
質問書 1通
スナップ写真(夫婦で写っており,容姿がはっきり確認できるもの)2~3葉
404円切手(簡易書留用)を貼付した返信用封筒 はがき 1葉
申請人のパスポートの写し パスポート・在留カード 原本

※個別の案件に応じて、別途資料の提出を求められることがあります。

永住者の子(実子)の場合

在留資格取得許可申請 在留資格更新許可申請
在留資格取得許可申請書 1通 在留資格更新許可申請書 1通
申請人(外国人)の写真 1葉
  • 縦4cm×横3cm
  • 無背景、無帽、正面
  • 申請前3ヶ月以内に撮影されたもの
申請人(外国人)の写真 1葉
  • 縦4cm×横3cm
  • 無背景、無帽、正面
  • 申請前3ヶ月以内に撮影されたもの
出生届受理証明書 1 通
国籍証明書 1通
扶養者の住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書(1年間の総所得及び納税状況が記載されたもの) 各1通 扶養者の住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書(1年間の総所得及び納税状況が記載されたもの) 各1通
日本に居住する永住者(申請人の親)の身元保証書 1通 日本に居住する永住者(申請人の親)の身元保証書 1通
世帯全員の記載のある住民票の写し 1通 世帯全員の記載のある住民票の写し 1通
はがき 1葉 はがき 1葉
パスポート・在留カード 原本 パスポート・在留カード 原本