高度専門職ビザ

「高度専門職」とは

「高度専門職」は、これまで高度人材告示に基づき「特定活動」の在留資格を付与されてきた高度人材外国人の方を対象する新たな在留資格として、平成26年に創設されました(平成27年施行)。「高度専門職」は、1年又は3年で「永住者」を取得することも可能となるなど、優秀な外国人材に様々な優遇措置を与える制度になっています。「高度専門職」は、「高度専門職1号(イ・ロ・ハ)」と「高度専門職2号」に分類されます。高度専門職1号イロハのビザをもって、3年以上日本に在留することで、高度専門職2号に移行(ビザ変更)することができます。70点以上が引き続き維持されており、素行が善良であることが条件になっています。高度専門職2号には、イロハの区別はありません。

在留資格 活動内容 対応する在留資格
高度専門職1号イ 日本の公私の機関との契約に基づいて行う研究研究の指導又は教育をする活動
  • 「教授」
高度専門職1号ロ 日本の公私の機関との契約に基づいて行う自然科学(理系)又は人文科学の分野(文系)に属する知識又は技術を要する業務に従事する活動
  • 「技術・人文知識・国際業務」
高度専門職1号ハ 日本の公私の機関において事業の経営を行い又は管理に従事する活動
  • 「経営・管理」
高度専門職2号 高度専門職1号イ、ロ、ハと同様 高度専門職1号イ、ロ、ハと同様

「高度専門職」に該当する仕事とは

日本政府は、「外国の優秀な人材」を日本に呼び込む ことを推進しており、「高度専門職」とは、その ような「外国の優秀な人材」に優遇措置を与える 制度です。具体的には、以下の業務が該当します。 

スーツを着た人
在留資格 具体的な職種の例
高度専門職1号イ
  • 高い研究成果を上げている大学教授
  • 博士号を取得した若手研究者
高度専門職1号ロ
  • 高い能力を有する技術者
  • 優秀なITエンジニア
高度専門職1号ハ
  • 大企業の経営者・役員

高度人材ポイント制とは

高度専門職」の在留資格を取得するためには、「高度人材ポイント制」で規定の点数以上であることが必要になります。具体的には、高度人材ポイント計算表で、学歴、職歴、年収、年齢(若い方がポイントが高い)をチェックしていきます。70点以上得点できた場合は、「高度専門職」を取得することができます。

「高度人材ポイント制」の詳細については、コラム:「高度人材ポイント制」をご参照ください。

「高度専門職」の優遇措置

優遇措置の内容 「高度専門職」 他の就労ビザ
複合的な在留活動 ×
在留期間 一律 5年 3ヵ月~5年
永住許可要件 1年または3年 10年
親の帯同 ×
家事使用人の帯同 ×
入国・在留手続の優先処理 ×
配偶者の就労 ×

① 複合的な在留活動(様々な活動ができる)

通常の就労ビザの場合、そのビザで許可されている職業にしか就くことができません。たとえば、会社で雇用されて勤務している外国人の方が、会社に勤めたままその知識や技術を活かして起業したいと考えた場合、その方は自身のビザを「経営・管理」に変更しなくてはなりません。しかし、「高度専門職」をもつ外国人の方には、「複合的な在留活動」が認められているため、上記のような場合にビザを変更することなく会社を経営することができるようになるのです。

※高度専門職1号は、所属機関(企業)で就労することを前提として高度専門職ビザを許可しています。したがって、もしもその所属機関(企業)を辞めて転職・企業する場合、在留資格を変更する必要があります。他の就労ビザの場合には転職しても、ビザ変更の必要がないケースがあるのとは異なりますので、ご注意ください。

② 在留期間(一律に5年が付与される)

一般的な就労ビザの場合、与えられる在留期間は3ヵ月、1年、3年、5年となっています。在留期間は、申請する外国人の方の素行、年収、勤め先の企業の規模などを総合的に判断されるので、個人の能力や収入=在留期間とはなりません。最長期間である5年の在留期間をもつ外国人の方をみると、本人の善良な素行に加え、勤め先の会社がいわゆる大企業であることが多いです。就労ビザをもって日本に在留する外国人の方の中で5年の在留期間をもつ方はあまり多くなく、とくに就労ビザを取得したばっかりの方に5年の在留期間が付与されることはほとんどありませんので、限られた一部の方に認められているといえます。

これに対して、「高度専門職」では、最初から一律に5年の在留期間が与えられます。外国人の方の場合、在留期間が長いことは、単に更新の手間が減るということだけでなく、その方の「信用」の一例とみなされることがあります。たとえば、ローン契約や保険の加入、永住申請など、様々な場面で長期の在留期間が付与されていることが求められることがあります。このような意味でも、一律に5年の在留期間が与えられる「高度専門職」を取得するメリットは大きいです。

③ 永住許可要件の緩和(1年または3年)

一般的に永住許可を受けるためには、「引き続き10年以上日本に在留していること」が要件とされていますが、2017年4月26日から、「高度専門職」をもって日本に在留している方は、「高度専門職」として1年または3年日本に在留することで、永住許可申請をすることができるようになりました。

日本の永住許可申請では、「引き続き10年以上日本に在留していること」に加え、「就労ビザで5年以上日本に在留していること」が求められるので、高学歴の外国人の方ほど就職するが遅くなり、永住許可を得るには長い期間が必要になっていました。このため、大学院に進学して学位を取得したような高学歴の外国人の方は、「高度専門職」を取得することで今までよりも格段に早く永住許可を申請することができるようになりました。

※「高度人材ポイント制」で、70点以上の外国人の方は3年、80点以上の方は1年となっています。

④ 親の帯同(日本に親を呼び寄せることができる)

現在の日本の入管法では、原則、外国人の方の親を日本に呼び寄せるためのビザは存在しません。「特定活動(老親扶養)」で呼び寄せることができる場合もありますが、要件は非常に厳格で、狭き門となっています。

これに対して、「高度専門職」をもって日本に在留する外国人の場合、世帯収入が800万円以上あり、7歳未満の子供の面倒を見る場合や妊娠中の自身や配偶者の介助・支援などの日常的な活動を行う場合などの条件に適合すれば、本人または配偶者の親のを日本に呼び寄せることができます。

⑤ 家事使用人の帯同

「高度専門職」をもって在留する外国人の方には一定の条件を満たす場合、家事使用人の帯同が許可されます。条件は、「高度専門職」をもつ方の世帯年収が1000万円以上あり、、当該外国人が使用する言語により日常会話ができる18歳以上の家事使用人(月額20万円以上) にも「特定活動」が付与される可能性があります。

⑥ 入国・在留手続の優先処理

日本のビザ申請審査は非常に厳格なので、出入国在留管理局(前:入国管理局)でのビザ申請の手続きには、時間がかかります。ビザ申請の審査期間についても、「高度専門職」では以下のように優遇措置が取られています。

その他のビザ 高度専門職
ビザの更新(在留資格更新許可申請) 2週間~1か月 5日以内
ビザの変更(在留資格変更許可申請) 2週間~1か月 5日以内
在留資格認定証明書交付申請 1ヵ月~3ヵ月 10日以内

※日本では、学校や企業の年度が4月から始まることもあり、毎年1月から3月までは通常よりも審査の期間が伸びる傾向があります。

また出入国在留管理局は、毎日多くの外国人の方が手続に訪れるので、非常に混雑します。東京入管では、3時間以上待つこともよくあります。この点についても、「高度専門職」の申請に行く方の場合、並ぶことなく優先的に受け付けてもらえるため、非常に優遇されているといえます(平成30年12月現在)。

⑦ 配偶者の就労

通常、「家族滞在」などのビザで日本に在留する外国人の方(就労ビザをもつ方のご家族)は、資格外活動許可を得て定められた時間のみ許可されるアルバイトを除き、就労は認められません。もし、就職をして働こうとする場合には、ご自身が就労ビザの要件を満たして就労ビザを取得する必要があります。しかし、「高度専門職」をもつ外国人の方の配偶者の場合、学歴や職歴などの日本の就労ビザの要件を満たしていなくても、就労することができます。

「高度専門職」の申請に必要な書類

準備中