家族滞在ビザ

「家族滞在」とは

「家族滞在」は、就労ビザ、留学ビザをもって日本に在留する外国人の扶養を受ける配偶者又は子又として行う日常的な活動を行うための在留資格(ビザ)です。具体的には、「教授」「芸術」「宗教」「報道」「高度専門職」「経営・管理」「法律・会計業務」「医療」「研究」「教育」「技術・人文知識・国際業務」「企業内転勤」「介護」「興行」「技能」「留学」のビザをもって日本に在留する方の配偶者及び子が該当します。「家族滞在」に該当するのは、在留する外国人の子供配偶者が対象であり、在留する者の恋人、両親や兄弟、親戚などは対象には含まれません。

「家族滞在」に該当する人とは

「家族滞在」とは、「技術・人文知識・国際業務」や 「技能」などの就労ビザや留学ビザをもつ外国人の方の 法律上の奥さんや子供に与えられるビザで、 具体的には、以下の人が該当します。
関係性 在留資格該当性 備考
配偶者 婚姻が法律上有効に成立していること
婚約者・恋人 × 短期滞在(知人訪問)に該当
嫡出子のほか養子や非嫡出子を含む
両親 × 「特定活動(老親扶養)」に該当
兄弟 × 短期滞在(親族訪問)に該当
親戚 × 短期滞在(親族訪問)に該当

配偶者と子の定義

「配偶者」は、現に婚姻が法律上有効に存続中の場合に限られ、以下の場合には該当しません。

  • 相手方の配偶者が死亡した場合
  • 相手方の配偶者と離婚した場合
  • 内縁の配偶者の場合
  • 同性婚の場合(各当事者の国の法律上有効に成立した場合の同性婚については、「特定活動」ビザに該当します)

「子」には、嫡出子のほか、非嫡出子や養子(普通養子及び特別養子)が含まれます。

「配偶者」と「子」に共通している点として、扶養を受けている、すなわち、経済的に依存している必要があることです。「配偶者」であれば、同居して生活費を扶養者に負担してもらっている状態、「子」については、扶養者(親)の監護教育を受けている状態を指します。したがって、経済的に自立している「配偶者」と「子」は、「家族滞在」には該当せず、それぞれが自身の独立したビザを取得する必要があります。

「家族滞在」についてのよくある質問はこちら

「家族滞在」の在留期間

日本に滞在することのできる期間は3ヶ月、6ヵ月、1年、1年3ヵ月、2年、2年3ヵ月、3年、3年3ヵ月、4年、4年3ヵ月、5年のいずれかになります。基本的には、「家族滞在」のビザで在留する方の在留期間は、扶養者の在留期間と同じになります。扶養者の在留期間が満了すれば家族滞在ビザを持っている方の在留期間も満了します。在留期間は、本人及び扶養者の素行、扶養者の勤務先の企業規模や就労内容、収入、納税状況などによって個別に判断されます。

申請のポイント

要件
「家族滞在」に該当する活動を行うこと
法律上有効な家族関係を有する事
扶養者に扶養の意思及び扶養するために十分な資力があること
申請人及び扶養者の過去の素行が不良でないこと
過去の申請との矛盾が無いこと

① 「家族滞在」に該当する活動を行うこと

「家族滞在」の在留資格で外国人の方が行う業務は、「就労ビザ・留学ビザをもって日本に在留する外国人の扶養を受けて行う日常的な活動」です。

配偶者 扶養を受ける配偶者として行う日常的な活動
扶養を受ける子として行う日常的な活動

したがって、原則として就労は認められず、経済的に独立している、すなわち、自分の収入で生活をしている方は「家族滞在」には該当しません。その場合、自身で就労ビザを取得する必要があります。20歳以上の子であっても、まだ学生であるなどの理由でまだ経済的に独立していない場合には、親の扶養を受けているといえるので、「家族滞在」に該当します。なお、「家族滞在」では、原則として就労は認められていませんが、資格外活動許可を得ることで、週28時間以内のアルバイト・パートを行うことは可能です。

② 法律上有効な家族関係を有する事

「家族滞在」の申請では、法律上有効な家族関係を有する事が前提となります。つまり、申請するときには、既に法律上有効な家族関係が成立し、存続中であること必要です。一般的に、「配偶者」の場合は「婚姻証明書」、「子」の場合は「出生証明書」などの公的書類によって家族関係を証明します。

③ 扶養者に扶養の意思及び扶養するために十分な資力があること

「家族滞在」が許可されるためには、扶養者に扶養の意思があることに加え、扶養するために十分な収入があることが必要です。通常は、申請の際に添付資料として扶養者の在職証明書や納税証明書、課税証明書などの収入を証する書類を提出します。いくら以上の収入が無ければいけないといった一律の基準はありませんが、あまりに収入が低い場合には、家族を扶養する事ができないのではないかと疑われてしまい、許可を得ることができない可能性があります。しかし、単に収入が低いから在留資格を得られないというわけではなく、今後収入が安定する見込みを示すことができれば、許可の見込みはゼロではありません。また、扶養者が就職して間もない場合についても、前年度の収入を証明する書類を提出できないことがあります。その場合には、必ず給与明細書や銀行通帳のコピーなどの現在の収入を証明する資料を提出する必要があります。扶養者の収入が低い場合や就職して間もない場合には、慎重に資力を立証する必要があるので、専門家へご相談することをお勧めします。

④ 申請人及び扶養者の過去の素行が不良でないこと

「家族滞在」の申請では、申請人及び扶養者の過去の在留状況が非常に重要です。申請人及び扶養者に、過去に重大犯罪や入管法・旅券法違反がある場合には、原則として在留資格は認められません。そして、前科だけでなく、過去の在留履歴、たとえば「留学」中の出席率、アルバイトの時間数(法定の時間数を超えて働いていないか)などの素行も厳しく審査されます。1つでも前科や不良歴があると在留資格の取得が不可能なわけではなく、今後日本で善良に在留することが書類から明らかであれば、在留資格取得の可能性はあります。このような場合には、専門家にご相談ください。具体的な不許可事例は「家族滞在ビザ」ビザの事例(リンク)を参照して下さい。

⑤ 過去の申請との矛盾が無いこと

申請人が過去に日本に滞在していたことがある場合、または、現在も有効なビザをもって日本に滞在している場合には、過去の申請の内容と現在の申請の内容に矛盾が生じないようにする必要があります。 過去の申請で誤った記載をしてしまい、現在の申請と矛盾があると、虚偽申請を疑われて不許可になってしまう可能性があります。たとえば、過去の申請(3年前)では未婚と記載しているのに、今回の申請では結婚して10年が経過していると記載していたりする場合には、たとえ悪意がなく単なる間違いだったとしても、虚偽申請を疑われてしまう原因になります。過去の申請内容に虚偽や誤りがある場合には、今回の申請にあたってその点をしっかりと説明する必要がありますので、行政書士などの専門家にご相談することをお勧めします。

「家族滞在」」の審査期間

ビザの更新(在留資格更新許可申請) 2週間~1か月 

※実務上は、1カ月以上かかることもあります。

ビザの変更(在留資格変更許可申請) 2週間~1か月

※実務上は、1カ月以上かかることもあります。

在留資格認定証明書交付申請 1か月~3ヵ月

※実務上は、3カ月以上かかることもあります。

※日本では、学校や企業の年度が4月から始まることもあり、毎年1月から3月までは通常よりも審査の期間が伸びる傾向があります。